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〔5〕ビートルズからクラシックへ [みたび寄り道]

 ボブ・ディランもストーンズもず~っと今もって活動を続けているが、ビートルズは1970年に解散した。むろん、これ以後も彼らの音楽を聴き続けてきたが、新たなロックバンドやアーティストには興味を持てなくなった。ストーンズやディランにしてもこのへんから先はあんまり熱心には追わなくなってきた。再びロックを聴くようになったのはずっと後のブルース・スプリングスティーンとU2が出てきて暫くたってからである。スティービー・ワンダーもエルトン・ジョンもビリー・ジョエルもいい曲はもちろん多いが、深くは刺さってこない。それなら、ジャズやブルースのほうへ行ってもよかったのだが、クラシック音楽に挑戦してみようと思った。これは大学を卒業して就職してからのことである。

 大学卒業後の勤務先は現在のJR水道橋駅のそばだったので、秋葉原の電気街へはしょっちゅう通っていた。石丸電気は今は見る影もないが、当時は家電はもちろん、レコードや後のCDの品揃えは豊富であった。毎日のように通っては、クラシック関連のレコードを眺めては、1枚また1枚と買っていった。やっとの思いで買ったステレオセットはパイオニア製であった。アンプにチューナーにスピーカーセット、レコードプレーヤー、カセットテープレコーダーを必死の思いで買った。ガラス戸のついた立派なラックは今ももの入れとして使っている。

 レコードもいいが、そうしょっちゅう買えるものではないから、NHK-FMのクラシック番組からのエアチェックがもっぱらであった。当時、NHK-FM東京で土曜日の午後はクラシックのリクエスト番組をやっていた。ここではわりとポピュラーな曲がかかるので、これををかたっぱしから録音する。ベートーベン、モーツァルト、ブラームス、チャイコフスキーといった誰でも知ってる交響曲が入門コースである。

 ソニーのウォークマンが流行りだしたのもこの頃ではなかったか。エアチェックしたカセットテープをいくつもリュックに詰めては、山歩きをするのが無上の楽しみだった。45分とか60分とか歩くのに計算が立つのである。これが終わるとちょうど45分だから小休止だとか思いながら歩くと不思議に疲れない。会社の同僚から借りたマーラーの交響曲をダビングしたカセットテープはどれだけ聴いたかわからない。ズービン・メータ、レナード・バーンスタイン、小沢征爾といった人たちが、盛んにマーラーを演奏していたころだ。

 マーラーは「いずれ私の時代がくる」と言っていたそうだが、100年経って、オーディオ機器が発達して、だれでも聴けるようになったので、その時代が来たのだ。

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