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11.奥多摩、奥多摩 [私の山歩き]

 アルプスにも繰り返し行ったが、実は一番足しげく通ったのは奥多摩の山々である。雲取山のようなところは泊まりがけになるが、あとは日帰りがほとんどである。夏や秋の間、アルプス方面に行って、冬春は奥多摩周辺という使い分けでずっとやってきたのである。

 新宿駅からは休日には奥多摩駅行きと武蔵五日市駅行きの列車が連結されて運行されている。この電車には数えきれないほど乗っている。奥多摩駅は1971年までは氷川駅と言っていた。今現在の駅舎に建て替えられるまではまだ昔風の素朴な駅だった。冬などは山から下りてくるとここの売店でお燗をしたワンカップの日本酒を買って飲むのが無上の楽しみだった。鍋に沸かしたお湯にカップ酒が何本も温められている。これを駅のベンチや発車待ちをしているがらんとした電車の中で飲むのである。奥多摩というと、こんなことを一番に思い出すのだ。

 それと、とても好きな山道がある。雲取山から奥多摩駅方面まで伸びるのが石尾根だが、一名奥多摩スカイラインともいう。ずっと歩けば下りで6時間ほどかかる。これが一番いい。あと、大岳山から馬頭刈山方面への道、御前山へと登る小河内峠、逆に御前山から下る湯久保尾根、川乗山頂上直下の急坂、棒の折山へ登る沢沿いの白谷沢、こういったところが大好きで何度も通った。

 こういう道は、1人で歩いていると、誰にも会わないのでだんだん不安になってくることもあるが、アルプスのような険しさはないから、常に現在位置を知り、エスケープルートを意識していれば心穏やかに山歩きを楽しめる。石尾根などは稜線に防火帯が続いて広々として実に気持ちがいい。真っ青な空、雪をかぶった富士山。初夏はウツギ、ヤマブキ、ヤマツツジ、シロヤシオ、アカヤシオ、ホオノキ、キリ、フジなど、初秋になるとハギの花がきれいだ。梅雨前の初夏や少し風が涼しくなった初秋の雨の中を歩くのがよい。

 
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